先週、90歳を過ぎた祖母が亡くなり、通夜葬儀とバタバタしておりました。祖母は10年近く認知症を発症し、施設のお世話になっておりましたが、身体機能は丈夫で自分では何も考えられない状況でもゆったりと過ごしていたようです。
誰か近しい親族がなくなるときには、それなりに予兆があったり、夢で告げられたりするものです。祖母の場合はお告げがなく、いきなりの訃報でした。この理由については、祖母は魂を使いはたして無い状態だったからです。
様々な事業やイベントなどを手広く手掛けていた祖父に付き添い、昔人だった祖母は苦労や心労がありながらも祖父をサポートとし支え尽くしていました。施設に入所する際、覇気もなく希薄な状態でしたが、死ぬ時には祖母としての魂が無くなっており妖怪となっていました。もはや、祖母としての意思は失われていました。
通夜→葬式を経て弔問客や親族が懐かしみ悲しみ、お坊さんにお経もあげてもらいました。そのため、周囲の魂が祖母に寄り集まり葬式が終わるまでには、祖母のような存在が生まれました。「祖母」というものを依り代にして、生きている人間が、悼み、成仏してくれと求めて捧げられた魂が、「祖母」っぽい何かが生まれました。その存在は、なぜ自分がここに存在しているのかも分からない状態で、子孫(この場合親の兄弟姉妹)の所に行きさらに魂を吸っていたようです。これから、その存在は何かしら役に立つことで、子孫の供養を重ねることで魂を増やしていき、やがてまた人間として生まれる日が来るかもしれません。輪廻というものはそういうものです。
ただ、はたしてそれは「祖母」かというと「祖母っぽいなにか」でしょう。大きい魂に意思は宿ります。人としての魂が失われれば、当然意思も失われます。運よく来世で出会えたとしても、もう祖母とはかけ離れた存在であることは確かだと思います。最近、前世の記憶を持たない魂が増えているみたいですが、祖母のような状態の方が増えたのではないでしょうか。
皆さんも、どうか生きている間に魂を消耗しないように、魂が少ない方は魂を回復させ人として来世生まれ変われるよう願っております。この晩秋、魂がないということは、親しいものに虫の知らせも届けれないだろうし、供養してくれる子孫がいなければ自分自身が消滅してしまうんだろうと思わされる出来事でした。